日仏演劇協会 公式ブログ

日仏演劇協会公式ブログ le blog officiel de la Société Franco-Japonaise de Théâtre

フィリップ・シェール特別講義

http://web.mac.com/philippechehere/philippechehere.com/Yamagata.html
http://www.tuad.ac.jp/newsevents/topics/newpage_20100520_121312/
「芸術文化論」(宮島達男)の特別講師としてレクチャー
講師:フィリップ・シェール
日時:2010年5月18日(火)12時30分〜、17時30分〜

フィリップ氏は、過去の来日の中で、日本のハンチントン病患者がいる病院でのワークショップなどを開催しています。病院、ビルの1室など、場所を選ばず患者と患者を含めた家族のためのワークショップを行ってきました。ハンチントン病は、体が自分の意思とは別に勝手に動いてしまう病。そのため患者本人や家族が社会からの偏見により孤立してしまっている状況があります。フィリップ氏はこうした状況をコンテンポラリーダンスを手法として、患者とその家族に希望を与えています。
ワークショップに参加したハンチントン病の患者の中には、この病気の特徴である不随意運動をしてしまうことが、ワークショップを通じて美しくさえ感じられるようになった人もいるそうです。「人はみなダンサーでは無いが、ダンサーになりえる存在。そうなるには、パーフェクトな体である必要は無い。自由でありさえすればいい。」と語りました。また、日本ダンスシーンの中において前衛となった舞踏家たちは、自らの日常の動きが一つの表現と成りえるということを発見した画期的な活動だったとも語りました。本講義では、大講義室に300名ほどの学生が聴講し、講義の最後には、フィリップさんが、本学学生と即興でダンスを披露しました。

■フィリップ・シェール氏略歴
演劇分野の経験を経て、仏モンペリエ国立振付センター現代舞踏養成コースに参加。1999年、初の振付作品発表。2003年、パリ・サルペトリエール病院にて「プロジェクトHD」開始。2004年、笹川日仏財団の協力により、プロジェクトを東京で実施。2006年、パリ第8大学修士課程で「舞踏家の知識と病院における芸術的実践」の研究開始。以後、発表と研究を続けている。