日仏演劇協会 公式ブログ

日仏演劇協会公式ブログ le blog officiel de la Société Franco-Japonaise de Théâtre

マテイ・ヴィスニユック作「なぜへカベ?」(江原早哉香演出)

作:マテイ・ヴィスニユック*1
翻訳:谷島貫太
演出:江原早哉香
出演:辻由美子/坂牧明/白根有子/栗山友彦/酒井宗親/柳瀬太一/柴崎美納/緒方一則/中村滋/車宗洸/白石圭司/稲葉礼恵/佐藤勇太/佐野準/渋谷愛/田中賢一/田中悟/保角淳子/木村奈津子/工藤順子/清水菜穂子/仲村三千代/高階ひかり/倉八ほなみ
芸術監督・企画:浅野佳成
日時:9月4日[水]〜11日[水]
会場:レパートリーシアターKAZE
開演:平日7時/土日2時[全席自由]
入場料:当日4000円/前売3800円/学生3300円

ヘカベはトロイアの王妃として栄華を誇り、多くの子にも恵まれながら、
ギリシャとの戦争によってそのすべてを失う。9人の息子は戦乱に斃れ、自らは敵将の奴隷となり、生き残った最後の息子と美しい娘もまた、伝統としきたりの犠牲となって命を落とす。権力を争い、富を求め、あるいは復讐に取り憑りつかれて、勝者は敗者に、被害者はまた加害者となりながら、高い塔を築いては破壊を繰り返す人間たち。
「もしすべてが愛によって生まれたのだったら、どうしてこれほどの残酷さ、これほどの戦い、これほどの悲しみが存在するんだろうか?」
戦争と悲劇、人間の業、社会への怒り。死と廃墟の只中で、引き裂かれた老女ヘカベの問いを過去から現代へと響かせる時、私たちはその叫びに今、何を聞くのか―。
演出は、『ニーナ あるいは剥製のかもめの脆さについて』『戦場のような女―あるいはボスニア紛争の戦場のような女の性について』などのマテイ・ヴィスニユック作品を手掛けてきた江原早哉香。今回は、「現実世界と対立するひとりの女性の内奥の世界を描き、自らと他者が持つ生の力に訴えたい」という江原の提案を受け、東京演劇集団風に書き下ろしたマテイ・ヴィスニユックの最新作。

*1:1956年、チャウシェスク政権下のルーマニアに生まれる。1987年、フランスに亡命。現在、約30作品の戯曲、小説、詩集が出版され、約20カ国で作品が上演されている。共産主義体制が崩壊した後のルーマニアでは、最も上演される劇作家のひとりとなった。2009年、フランス作家協会(SACD)よりヨーロッパ賞受賞。東京演劇集団風への書き下ろし作品は『ジャンヌ・ダルク―ジャンヌと炎』(2008年)『ニーナ あるいは剥製のかもめの脆さについて』(2010年)に続く3作目となる。