日仏演劇協会 公式ブログ

日仏演劇協会公式ブログ le blog officiel de la Société Franco-Japonaise de Théâtre

地点「――ところでアルトーさん、」(三浦基演出)

http://www.festival-tokyo.jp/program/chiten/
原作:アントナン・アルトー(Antonin Artaud)
演出:三浦基(地点)
翻訳・構成:宇野邦一立教大学
出演: 安部聡子、石田 大、大庭裕介、窪田史恵、河野早紀、小林洋平、谷 弘恵
日時:2010年11月19日(金)−11月23日(火・祝)
★11/20(Sat) 終演後ポスト・パフォーマンストークあり 三浦基×やなぎみわ(美術作家) 
会場:東京芸術劇場小ホール1
上演時間:80分(休憩なし・予定)
料金:自由席 一般 前売 3,500円(当日 +500円)、学生 3,000円、高校生以下 1,000円(前売・当日共通、要学生証提示)
チケット取り扱い:F/Tチケットセンター(電話/パソコン/携帯)、F/Tステーション、チケットぴあ【Pコード:406-000】、イープラス

創作ノート/三浦 基(演出)
晩年のアルトーは復活した。しかしそれは宗教の話ではない。単に助かったのである。例えば電気ショックという今では考えられない治療という名の拷問から。助かった者は、もちろん図太く、ますます身勝手でもあるが、とにかく強いのである。そして私の関心は、その強さの裏側にあるしたたかさと、むしろ今度は弱さとでも呼ぶべきかもしれない神経の正体についてである。だからこれは、アルトー救済の劇ではない。もう一度、彼を拷問してみようという私の意地悪だけがまずある。


宇野邦一(翻訳・構成)
「残酷の演劇」を提唱したあとも、これについて注釈するアルトーのはりつめた語調から始まる。その後、終末論的錯乱へと踏み込んだが、残酷、演劇、身体に関する壮絶な思索はとだえることがなかった。肉を失ったアルトーは、新しい肉をえて復活する。9年間にわたる錯乱の工房からは、いくつかの傑作が生まれた。残酷の演劇は、アルトー自身がまさに錯乱を経て復活するというもうひとつの演劇として生きながら実践された。いくつかの手紙と『神の裁きと訣別するため』を合わせて、アルトーのたどった数奇な時間に踏み込む。かつてアルトーの演劇は、世界の演劇を揺さぶったが、アルトーの真実はまだ闇に埋もれたままである。いま改めてアルトーという火山のマグマに触れることは、演劇にとって、いくつもの険しい山を越えなければならない試練となる。