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千川哲生『論争家コルネイユ――フランス古典悲劇と演劇理論』(早稲田大学出版部)

論争家コルネイユ フランス古典悲劇と演劇理論

論争家コルネイユ フランス古典悲劇と演劇理論

■作品概要
17世紀フランスの劇作家ピエール・コルネイユの悲劇と演劇理論の総合的な解明を目指し、この作家の細心で大胆な論争家としての一面を鮮やかに浮彫りにする。
■メッセージ
コルネイユは「ル・シッド論争」をきっかけとして演劇に関する考察を深め、独自の理論を構築するに至った。自作の正当化と批判に対する反論がその主な動機である。一方で『オラース』や『シンナ』に代表されるコルネイユの悲劇の原動力は、登場人物が論理的な言葉を駆使しながら互いを論破しようとする試みにある。様々な論証の技法は、コルネイユの理論と悲劇、双方の形成に大きく関わっているばかりか、両者を結びつけてもいる。本書はこの点に着目することで、コルネイユバロック期から古典主義期にかけて、理論と実践を関連させながら試行錯誤のなかで創作を続けたことを詳細に跡付けている。
なお、本書は2007年にパリ第四大学に提出された筆者の博士号請求論文の邦訳である。
■目次

第一部 コルネイユの演劇理論における論証法
  第一章 『詩学』の解釈と規則の制定
  第二章 演劇の道徳性
  第三章 歴史的主題の説得力

第二部 コルネイユの悲劇における論証法
  第一章 概念の定義をめぐる議論
  第二章 先例とその模倣
  第三章 交換的正義の原理にもとづく議論
  第四章 性格の一貫性と思想の多様性
  第五章 真意の隠し立て
  第六章 論証法に関するコルネイユの理論的考察
結論