日仏演劇協会 公式ブログ

日仏演劇協会公式ブログ le blog officiel de la Société Franco-Japonaise de Théâtre

現代芸術研究会第7回例会

http://www.art-c.keio.ac.jp/research/SG/rcaaasg15.html
発表者:川野惠子(美術史・舞踊史)
キュビスムとしてのダンス――1910年代のニジンスキー振付作品」
日時:2008年 11月 14日(金曜日)18:30–20:00
場所:慶應義塾大学 三田キャンパス

20世紀初頭ヨーロッパを中心に活動したセルゲイ・ディアギレフ率いるロシア・バレエ団の伝説的な名舞踊手であり、同時に振付家であったヴァスラフ・ニジンスキー(1890〜1950)は、1910年代に《牧神の午後》、《遊戯》、《春の祭典》という三つの作品を発表した。本発表では復元資料が比較的整っている≪牧神の午後≫、《春の祭典》について、台本、音楽、舞台美術など様々な分野を横断し、構成されるこれら舞踊作品の、とりわけその振付に注目し、同時代いよいよその影響力を強めていたキュビスムとのつながりを考察したい。   第一作にあたる《牧神の午後》(1912年)は「キュビスムの身振り」と批評され、上演当時からキュビスムとの関係が指摘されてきた。しかしそうした影響関係は振付の平面性や幾何学性を漠然と述べるにとどまっており十分に検討されてこなかった。そこでキュビスム絵画の絵画史における変革とニジンスキー振付作品の舞踊史における変革の並行関係を明らかにし、ニジンスキーキュビスム・ダンスとしての試みを示したい。