日仏演劇協会 公式ブログ

日仏演劇協会公式ブログ le blog officiel de la Société Franco-Japonaise de Théâtre

フィリップ・ラクー=ラバルト『歴史の詩学(Poétique de l'histoire)』(藤本一勇訳、藤原書店)

フィリップ・ラクー=ラバルト(1940-2007)追悼記念出版

歴史の詩学

歴史の詩学

ハイデガーは、ルソーの何を恐れたのか?ルソーが打ち立てる「ピュシス(自然)はテクネー(技術)の可能性の条件」という絶対的パラドクス。ハイデガーが否認するルソーに、歴史の発明、超越論的思考、否定性の思考という「偉大なドイツ哲学」(ハイデガー)の“起源”を探り、ハイデガーのテクネー論の暗黙の前提をも顕わにする。テクネーとピュシスをめぐる西洋哲学の最深部。

■目次
1――起源の舞台
 1.ルソーを否認するハイデガー……歴史の起源としての詩作/ヘルダーリンの救済、ルソーとの決別/「偉大なるドイツ哲学」の起源
 2.ルソーの存在−技術論……哲学の創始的問いへの退歩/超越論的否定性としての起源/技術の可能性としての自然
 3.ハイデガーはルソーの何を恐れたのか……自然状態はひとつの劇場/カタルシスという問題/根源的演劇性
2――先行的演劇
 1.ルソーの引き裂かれた核心……演劇を断罪するルソー/偽りの憐れみとしてのカタルシスプラトンアリストテレスのミメーシス観/忌わしいカタルシス
 2.ルソーの弁証法……ギリシアという例/例外 /カタルシスという弁証法/悲劇を止揚するルソーの祝祭
 3.芝居がかる死……弁証法の前提としての演劇/演劇の否認が恐怖を生む/演劇の否認はコメディである