日仏演劇協会 公式ブログ

日仏演劇協会公式ブログ le blog officiel de la Société Franco-Japonaise de Théâtre

劇評「炎 アンサンディ」

読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/culture/stage/theater/20141001-OYT8T50107.html

家族愛と、殺りく、暴力への嫌悪に引き裂かれた母の沈黙の向こう側、人として残された尊厳と母性の深さを体現する麻実が圧巻。カナダと中東を往復し時間も前後する戯曲の流れを、上村はシンプルな広い傾斜舞台で空間化した。少女時代のナワルが恋した若者など何役も演じ分ける岡本健一はもとより、ナワルの友人を演じる那須佐代子らの存在感も光る。
戦乱の絶えない遠い国を舞台にした家族の悲劇を日本人が演じ、見ることの距離を最初は感じたが、いつか距離は消え、最後は胸が熱くなった。演出家の志、それに応えた俳優、スタッフに拍手を送りたい。(山内則史)

朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/DA3S11382360.html

麻実が切ってはめたような適役。その威厳と包容力は日本の俳優には珍しい。栗田と小柳が姉と弟に見えるのがよく、岡本健一中村彰男那須佐代子を含めて健闘、戯曲に正対し、俳優の内面の「声」を引き出す演出に力がある。(大笹吉雄演劇評論家