日仏演劇協会 公式ブログ

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劇評 ピーター・ブルック「驚愕の谷」

朝日新聞
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11211318.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11211318

感覚器官がこれほど研ぎ澄まされたのはいつ以来か。現代演劇界の巨匠ピーター・ブルックは、89歳にしてなお、一瞬一瞬が発見の連続であるかのように瑞々(みずみず)しく世界を呼吸する。
マリー=エレーヌ・エティエンヌとの共同演出により、パリで初演された新作「驚愕(きょうがく)の谷」は、情報化社会で鈍磨した知覚を救出する試み。いわば「五感の演劇」だ。演出の構図や、役者の使い方に新奇さはない。だが長年磨かれた弦楽器のように、比類なく純化された美を放つ。
(岩城京子)