日仏演劇協会 公式ブログ

日仏演劇協会公式ブログ le blog officiel de la Société Franco-Japonaise de Théâtre

「18世紀ヨーロッパにおける演技の展開」プレ・シンポジウム

http://www.comparativetheatre.org/archives/223
日時:2012年7月7日(土)13時〜17時
場所:明治大学駿河台キャンパス1155教室(リバティタワー15階)
講師:奥香織「18世紀パリのイタリア人劇団とその演技――「自然さ」をめぐって」
講師:大崎さやの「リッコボーニ親子の演技論について」
司会・講師:安田比呂志「情念の演技――アーロン・ヒルの造形的想像力」
講師:菊地浩平 「サミュエル・フット×ディヴィッド・ギャリック――演劇検閲法と18世紀英国の演技をめぐって」
講師:新沼智之 「18世紀ドイツにおける演技の展開――エクホーフを中心に」
(本シンポジウムは、明治大学大学院文学研究科・演劇学演習穵Aとの共催で開催されます。通常の例会とは異なり、入り口に立て看板などの案内は出ていませんので、直接教室にお越しください。)

発表要旨(抜粋、その他は上記サイトでご確認ください)
奥香織「18世紀パリのイタリア人劇団とその演技――「自然さ」をめぐって」
18世紀フランス演劇における最初の転機は、ルイ14世の死後、1716年に新イタリア人劇団が来仏し、パリに居を構えたことである。この出来事は、旧イタリア人劇団の追放以来およそ20年間続いたフランス人劇団の特権的地位を揺るがし、硬直状態にあったパリの演劇状況に変化をもたらしたからである。イタリア人劇団は、王の常設劇団として認められていたものの、フランス人劇団よりも劣ったものとみなされていたが、彼らの演技にはフランス人俳優にはない「自然さ」があり、その点が観客を魅了して人気を博したと言われる。しかしながら、コンメディア・デッラルテの伝統を継承するイタリア人劇団の舞台は約束事に満ちており、リアリズムからはほど遠い。では、彼らの「自然な演技」とはどのようなものであったのだろうか。本発表では、18世紀パリの演劇状況を概観した後、特に世紀前半に活躍したイタリア人劇団に光を当て、彼らの演技を、同劇団の伝統的な演技方法との関連から、また、同時代に書かれた理論書や批評を通して考察し、イタリア人俳優の演技に対して使われる「自然さ」の意味を検討したい。